ホーム › AAに関する質問に、本から答える › 言い習わし:本に書いてあるか

ビッグブックに「うんざりすることに、もううんざりだ」(sick and tired of being sick and tired)という言葉はありますか?

このページのAAの文献からの引用のうち、12のステップ、12の伝統(短いものと長文のもの)、12の概念の短いかたち、AAの序文は、AA日本ゼネラルサービス(JSO)が公開している日本語です。ビッグブックの本文、祈り、12の概念の長いかたち、そのほかのAAの文献や歴史書からの引用の日本語は、AAの英語の原文からの私たちの翻訳で、AAが出版した日本語訳ではありません。英語で読む

ひとことで言うと:

  • いいえ。この言い回しはビッグブックにも、私たちが調べたほかの出典のどこにもありません。「sick and tired」(うんざり)という言葉もありません。
  • プログラム本文は、この言い回しが指す状態を、(英語の)本文自身の言葉で確かに描いています。ビルが「あの苦い自己憐憫の泥沼」のなかで味わった「孤独と絶望」(英語版8ページ)、そして「自分たちがそれまで送ってきた人生の望みのなさと空しさを信じるようになった」アルコホーリク(25ページ)です。
  • ただし本は、うんざりしていることも、やめたいと強く願うことさえも、それだけでは足りないと述べています。アルコホーリクは「飲酒をやめたいという最も強い願いがまったく役に立たない」状態に至るのです(英語版24ページ)。ビル自身の絶望も、彼を飲まずにいさせてはくれませんでした。「恐怖のおかげで、私はしばらく飲まずにいた」が、そのあとまた飲んだのです(8ページ)。絶望した人に本が差し出すのは、霊的な解決です(25ページ、43ページ)。

検索の結果

すべての出典を、ページの切れ目をつないだうえで、英語の「sick and tired」「sick and tired of」「tired of being」「sick of being」「tired of」「tired of it」「sick of」「fed up」「had enough」「sick unto」で検索しました。この言い回しも「sick and tired」も出てきません。最も近いのは第4版の体験談「好機の窓」で、飲まずに6か月たっても惨めだった書き手が、「私は惨めで、そんな自分にうんざりしていた。もうたくさんだと決めた。」と書いています(英語版428ページ)。それは飲んでいる人ではなく、飲まずにいるメンバーの絶望であり、状況を変えたのは、ミーティングで別のメンバーに正直になったことでした(428ページ)。ひとりのメンバーの体験談であって、プログラム本文ではありません。

第1章に見るビルの絶望

二度目の入院のあと、ビルの妻は、このままでは振戦せん妄のさなかの心不全か、「ウェット・ブレイン」で、早ければ1年のうちに終わるだろうと告げられました(英語版7ページ)。ビルはこう書いています。「あの苦い自己憐憫の泥沼で味わった孤独と絶望は、言葉では言い表せない。」(8ページ)。「私はついに、かなわない相手に出会った。打ちのめされた。アルコールが私の主人だった。」(8ページ)。

そのあとの数行も同じくらい重要です。「震えながら、私は打ちひしがれた姿で病院を出た。恐怖のおかげで、しばらくは飲まずにいた。やがて、最初の一杯という陰険な狂気がやって来て、1934年の休戦記念日に、私はまた飲み始めた。」(英語版8ページ)。彼の絶望は本物でしたが、それでも彼は飲むのを止められませんでした。彼を変えたのは、その月のうちに訪れたものです。酒をやめた昔の学校の友人が、台所のテーブルの向かいに座っていたのです(8~11ページ)。それでもビルはこう言っています。「私は衝撃を受けたが、興味もあった。確かに興味があった。そうでなければならなかった。私は望みを失っていたのだから。」(10ページ)。

第2章に見る望みのない状態

第2章は、飲酒について選ぶ力を失ったアルコホーリクを描いています(英語版24ページ):

  • 「どのアルコホーリクも、飲酒のある時点で、飲酒をやめたいという最も強い願いがまったく役に立たない状態に入る。」(英語版24ページ)。
  • 「やめたいのにやめられない人が、これほど多くいる。」(英語版25ページ)。
  • そして転機が来ます:「解決はある。」(英語版25ページ)。メンバーたちは「私たちの足もとに置かれた、霊的な道具の簡素な一式」(25ページ)を手に取りました。それは、自分たちが「それまで送ってきた人生の望みのなさと空しさを信じるようになっていた」(25ページ)からであり、問題が解決された人たちが近づいてきたからです(25ページ)。
  • 「私たちは、生きていくことが不可能になりつつある状況にあった」(英語版25ページ)。道は二つありました。「ひとつは、苦い結末まで突き進むこと」(25ページ)、「もうひとつは、霊的な助けを受け入れること」(25ページ)。彼らは二つ目を選びました。「心から望み、そのための努力をいとわなかった」からです(25~26ページ)。

つまりこの章は、人びとが行き詰まりの果てにAAに来たことを認めています。行き詰まっていること自体が人を飲まずにいさせる、と言っているのではありません。絶望が、自分の外からやって来る解決を受け入れる準備を、人びとに整えさせたと言っているのです。

本文がこれを描いているほかの箇所

  • 第3章:「永遠にやめたいという強い衝動があった。それでも、それは不可能だとわかった。これが、私たちの知るアルコホリズムの不可解な特徴である――どれほど必要に迫られても、どれほど願っても、酒に手を出さずにいることがまったくできないのだ。」(英語版34ページ)。さらに、早い時期なら大半の人はやめられたかもしれないと述べたあと、「しかし困難なのは、まだ時間があるうちにやめようとする十分な意欲をもつアルコホーリクがほとんどいないことだ。」(32ページ)と続けます。
  • 第11章:飲酒の最後の日々は、「恐ろしい四騎士――恐怖、困惑、挫折、絶望」をもたらします(英語版151ページ)。酒を飲まずにいても、アルコールのない人生を思い描けない「ドライ・ドリンカー」は、いつか「飛び降りる寸前の場所にいることになる。彼は終わりを願うだろう。」(152ページ)。
  • 医師の意見:シルクワース医師は、男たちが「先生、こんなふうには続けられません!」と叫んだこと(xxixページ)、そして酒びたりのあとには毎回「悔い、もう飲むまいと固く決意して」立ち直るのに(xxixページ)、また同じことを繰り返すと書いています。そうした人が「心の全面的な変化を経験しないかぎり、回復の望みはほとんどない」というのです(xxixページ)。参照:「医師の意見」とは何で、誰が書いたのですか?

本文が絶望をどう用いているか

絶望には、プログラム本文のなかで確かに居場所があります。人が助けを受け入れるようになるきっかけとしてです。

  • 助ける側に向けて:「彼がまだ神経が高ぶっているうちに訪ねるとよい。気がふさいでいるときのほうが、受け入れやすいかもしれない。」(英語版91ページ)。「彼が絶望的な気持ちでいればいるほどよい。あなたの提案に従う可能性が高くなる。」(94ページ)。
  • 「あなたが差し出すものを熱心に受け入れるほど切羽詰まった人が、きっと見つかる。」(英語版96ページ)。
  • まだ関心のない人については、その人から手を引かなければならないかもしれません。「彼が気持ちを変えるまで。それは、彼がさらに痛い目にあってからのことかもしれない。」(英語版95ページ)。
  • そして自分たち自身については:「私たちも、自分の番になると、溺れる者の必死さで同じ逃げ道を求めた。」(英語版28ページ)。

これは何を意味するか

この言い回しが指しているのは、プログラム本文がよく知っているもの、つまり飲酒で疲れ果て、やめたいと願うアルコホーリクです。本はその絶望を活用し、それが人に耳を傾ける準備をさせうると述べています(英語版94ページ、96ページ)。しかし同時に、やめたいという願いはどれほど強くても、本物のアルコホーリクを飲まずにいさせはしないと、はっきり述べています(24ページ、34ページ)。そしてビルの体験談は、絶望が最初の一杯に道を譲る様子を示しています(8ページ)。本の答えは第3章にあるとおりです:「彼の防御は、自分を超えた大きな力から来なければならない。」(43ページ)。参照:ビッグブックは、「底をつく」必要があると言っていますか?

自分で読む

出典

出典 ページ 日付
私たちの資料すべて(検索したもの):ビッグブック、パンフレット、歴史、物語、サービス — さまざま
「医師の意見」 xxix 1939年版(手を加えず収録、xiページ)
『Alcoholics Anonymous』第1章~第3章、第7章、第11章 7–11, 24–28, 32–34, 43, 91–96, 151–152 1939
「好機の窓」、第2部 428 第4版(2001年)

Recovery Startsは独立した団体で、アルコホーリクス・アノニマスとは提携していません。引用は短く、出典を示しています。ビッグブックの著作権はA.A. World Services, Inc.にあります。

これらのページは、AAが自ら出版した文献を全文読んだうえで、AAについての質問に答えるものです。引用はすべて、出典のページの英語の原文と一字一句照らし合わせて確認しています(日本語訳は私たちによるものです)。Recovery Startsは独立した団体で、アルコホーリクス・アノニマスとは提携していません。私たちが読んだもの、そして各資料がいつ書かれたか。