老トムは正しかった
このページのAAの文献からの引用のうち、12のステップ、12の伝統(短いものと長文のもの)、12の概念の短いかたち、AAの序文は、AA日本ゼネラルサービス(JSO)が公開している日本語です。ビッグブックの本文、祈り、12の概念の長いかたち、そのほかのAAの文献や歴史書からの引用の日本語は、AAの英語の原文からの私たちの翻訳で、AAが出版した日本語訳ではありません。英語で読む
毎日の伝統・8月10日
24丁目の古いクラブハウスはひどい状態でした。ボランティアたちが壁を塗り、電話に出て、そのまま帰っていきます。場所は汚れたままでした。飲んだ人たちが、あらゆる状態で、いつでもそこで眠っていたのです。ビル・Wはこう書いています。「どう見ても、管理人が必要だった」。そこで彼らは、年金をもらっている退職した消防士のトムに目をつけました。年金があるのだから、交渉で強く出られる立場ではないだろう、と彼らは踏んだのです。立派な部屋を用意し、週7日、コーヒーをいれ、状態の悪い人を外に出し、掃除をしてほしいと頼みました。トムは話を最後まで聞いて、あなたでも言うようなことを言いました。要するにあんたたちが欲しいのは用務員だろう、と。彼らは、そのとおりだと認めました。するとトムは、何か払ってくれるのかと尋ねました。若く、怯えていて、自信満々だったAAは、払わないと答えました。「それではあなたがプロになってしまう。ここはアルコホーリクス・アノニマスだ。お金と霊性を混ぜてはならない」からです。トムの返事は、私たちの文献の中でもとりわけ役に立つ一文です。「金がなけりゃ、仕事もしない。十二番目のステップ活動はただでやってるが、ここに用務員として置くつもりなら、金を払ってもらうよ。いいな?」――ほうきを持った一人の男が、伝統が文章になる何年も前に、伝統の全体をそこで言い当てていたのです。彼はメッセージなら永遠にただで運ぶでしょう。でも、床を掃くのはただではやりません。ビルの結論は、老人から最後の1セントまで値切った末に、ずっとあとになって書かれたものです。「だが老トムは正しかった。AAが機能するためには、手伝いを雇わなければならなかった」。
トムは自分で線を引きました。メッセージは無償、ほうきは有償。私は、自分ならただではやらないことを、誰かにただでやってほしいと頼んでいないでしょうか?
根拠:『アルコホーリクス・アノニマス 成年に達する』(老トムとクラブハウス)、長文のもの、伝統8。
伝統8
「アルコホーリクス・アノニマスは、あくまでも職業化されずアマチュアでなければならない。ただ、サービスセンターのようなところでは、業務に従事する人を雇うことができる。」
そして、はっきり区別しておきたいことがあります。伝統は運営のための原則であって、神学ではありません。伝統が縛るのはAAのグループと共同体であり、個人や外部の事業者ではありません。伝統は1950年に、AAが誰かに所有されたり取り込まれたりしないように採択されました。あなたの私生活のための規則集ではありません。
毎日の伝統は、Recovery Startsが提供する独立した教育用の資料です。AAの公式な文献ではなく、Alcoholics Anonymous World Services(AAワールドサービス社)とは関係がなく、医療上の助言でもありません。12の伝統はAAに帰属するものです。ページの表記は、『Alcoholics Anonymous』(ビッグブック)英語版第4版のもので、短いものは561~562ページ、長文のものは563~566ページです。危機的な状況にあるときは、日本では、いのちの電話(0120-783-556、無料・毎日16:00~21:00)やよりそいホットライン(0120-279-338、無料)に電話してください。命に危険があるときは119番へ。アメリカ・カナダでは988(Suicide & Crisis Lifeline)に電話し、日本語の通訳を頼んでください。