伝統は、ただの形式にすぎないのですか?

このページのAAの文献からの引用のうち、12のステップ、12の伝統(短いものと長文のもの)、12の概念の短いかたち、AAの序文は、AA日本ゼネラルサービス(JSO)が公開している日本語です。ビッグブックの本文、祈り、12の概念の長いかたち、そのほかのAAの文献や歴史書からの引用の日本語は、AAの英語の原文からの私たちの翻訳で、AAが出版した日本語訳ではありません。英語で読む

ひとことで言うと:

  • いいえ。ビッグブックは伝統を、2つの生死にかかわる問いに対するAAの最善の答えとして紹介しています。AAはどうすれば最もよく機能できるか、そしてどうすれば全体を保って生き残れるか、です(英語版561ページ)。一体性がなければ、「私たちの多くは、結局ひとりで死ぬことになる」とあります(561ページ)。
  • 伝統は、すでにうまくいかなくなっていたことを記録しています。初期のメンバーの10分の9を締め出していたはずのメンバーシップの規則、病院の商売に乗り出したグループ、お金とクラブをめぐる争い、AAの名前を自分の運動のために使ったメンバー。
  • 規則でもありません。1955年にビッグブックは、そのどれも「規則や法律としての力」を持たないと述べ(xixページ)、ビル・Wは、もしAAがそれを固めてしまったら、「文字が、その精神を押しつぶすかもしれない」と警告しました。グループは、メンバーがステップに従うのと同じ理由で、自分の選択として伝統に従います。

ビッグブックが述べる、伝統の目的(付録I)

付録Iは、何がかかっているかを述べて始まります。AAは、そのメンバーにとって「みじめさとソブラエティの違い、そしてしばしば生と死の違い」を生み出してきたのであり、まだ手が届いていないアルコホーリクにとっても、それだけの意味を持ちうるのです(英語版561ページ)。だから、これほど切実に永続する一体性を必要とした団体はありません。「私たちアルコホーリクは、ともに働き、ともに結束しなければならないと悟っている。さもなければ、私たちの多くは結局ひとりで死ぬことになる」(561ページ)。伝統は、AAはどうすれば最もよく機能し、全体を保てるかについての、「私たちの経験がこれまでに出した最善の答え」です(561ページ)。

長文のものも同じところから始まります。各メンバーは大きな全体の小さな一部であり、「AAが生き長らえなければ、私たちの多くが確実に生命を失うことになるだろう」(英語版563ページ)。その第7の伝統は、ほかのいくつかの伝統の背後にある理由を述べています。「財産、金銭、権威をめぐっての無益な論争ほど、私たちの霊的遺産を確実に破壊するものはないことを、経験がしばしば戒めている」(564ページ)。

伝統の出どころ:理論ではなく、経験

1946~47年のビル・Wのエッセイは、伝統が困難のなかから育ったことを示しています:

  • メンバーシップ。オフィスが各グループのメンバーシップの規則を集めたところ、ビルは、もしそれらがすべて実施されていたら、加わることは「どんなアルコホーリクにとっても、ほとんど不可能だっただろう」と気づきました。最も古いメンバーの約10分の9は、入ることができなかったはずです(P-17、「Who Is a Member of Alcoholics Anonymous?」、1946年、11ページ)。
  • 病院と事業。自前の酒を抜くための場所を運営したグループは、それが自分たちを商売に引き込み、ほとんどいつも裏目に出ることに気づきました(P-17、15ページ)。
  • クラブ。ニューヨークの最初のクラブは、グループ、クラブ、その地域のお金を、何年にもわたって絡み合わせました(P-17、19~20ページ)。
  • お金。ビルは「自らの繁栄と成功という大きな試練」を、AAにとって最大の試練と見ていました(P-17、「Money」、1946年、35ページ)。
  • 権威。ビルがAAを自分で治めようとするたびに、彼は「怒鳴りつけられて黙らされた」のです(P-17、39ページ)。

ビッグブックの1955年の「再版にあたって」はこうまとめています。AAが成長するにつれて、お金、権力、分裂という、恐れていたまさにその問題に「どのグループでも」直面しました(xixページ)。そこから、AAは一つにまとまるか、さもなければ滅びるしかないという確信が生まれました(xixページ)。

ビルがどれほど真剣だったか(P-17の序文、1955年)

  • 一体性は、放っておいて保たれるものではありません。個人の回復と同じように、AAも、誠実さと謙虚さ、そして「何にもまして――警戒を怠らないこと」(P-17、序文、1955年、5ページ)をもって、つねに努力し続けなければなりません。ビルはすべてのメンバーに、自分自身の欠点に気づくのと同じくらい、AAを脅かすものに気づいているよう求めています。「運動全体が、これまでにも、酒に溺れたことがあるのだから!」(P-17、序文、1955年、5ページ)。
  • 彼は12の項目を「グループの行動と広報についての健全な原理を述べようとした、私たちの最初の試み」と呼び(P-17、序文、1955年、5ページ)、多くのメンバーが「私たちは、12の回復のステップに対するのと同じくらい真剣に、それらをグループの生活にも適用すべきだ」と感じていたと報告しています(P-17、序文、1955年、5ページ)。ここでステップは、メンバー自身に向けたものです。

ただし、規則としてではありません

同じ序文でビルは、逆の誤りも戒めています。「アルコホーリクス・アノニマスを発明した者はいない。それは育ってきたのだ」(P-17、序文、1955年、5ページ)。経験が方針になり、それから伝統になったのであり、彼はその過程が決して止まらないことを願いました。「もし私たちがあまりに固まってしまえば、文字面が精神を押しつぶしかねない」(P-17、序文、1955年、5ページ)。AAは、「ささいな規則と禁止事項によって」自らを犠牲者にしてしまうかもしれず、あるいはアルコホーリクに、融通のきかない考えを受け入れるか、近寄らないかを求めてしまうかもしれません(P-17、序文、1955年、5ページ)。「それでも、私たちの経験の教訓は大きな意味をもつ」(P-17、序文、1955年、5ページ)。

1947年に彼は、誰かが強制しなくてもグループがそれを守る理由を説明しました。メンバーは、死ぬより回復を選ぶので、自らの選択でステップに従います。グループが伝統に従うのは「まったく同じ理由で」であり、「そうしなければ崩壊してしまう」とわかっているからです(P-17、「Will A.A. Ever Have a Personal Government?」、1947年、38ページ)。

ビッグブックの1955年の「再版にあたって」は、さらにこう述べています。原理のどれも規則や法律としての力は持たなかったものの、1950年までに広く受け入れられ、クリーブランドで開かれたAA最初の国際会議がそれを確認しました(xixページ)。

これは何を意味するか

伝統は飾りではなく、形式的な手続きでもありません。グループが自分たちを破滅させかけたことの記録で、新しいグループが同じやり方で学ばなくてすむように書き残されたものです。また法律でもありません。誰にもそれを強制することはできず、ビルは、誰かが強制しようとしたらどうなるかを恐れていました。1行の短いものだけを読むグループは、その歴史の大部分を見落とします。長文のものとビルの文章は、理由を添えたまま残しています。長文のものとは何で、なぜ短いものではなく長文のものを読むのですか?を参照してください。

自分で読む

出典

出典 ページ 初出
英語版『Alcoholics Anonymous』、付録I「The A.A. Tradition」と長文のもの 561–566 長文のもの:AAグレープバイン、1946年;付録は1955年から
ビル・W、「Who Is a Member of Alcoholics Anonymous?」(P-17) 11–14 AAグレープバイン、1946年
ビル・W、「Hospitals and A.A.」(P-17) 15–16 AAグレープバイン誌、1947年
ビル・W、「Clubs in A.A.」(P-17) 17–22 AAグレープバイン誌、1947年
ビル・W、「Money」(P-17) 27–35 AAグレープバイン、1946年
ビル・W、「Will A.A. Ever Have a Personal Government?」(P-17) 37–40 AAグレープバイン誌、1947年
ビル・W、P-17の序文 4–10 1955
英語版『Alcoholics Anonymous』、再版にあたって xix 1955

ビッグブックのページ番号は英語版第4版(2001年)のものです。P-17のページ番号はパンフレットに印刷されている番号(© 2019)で、aa.orgの無料PDFと一致します。

Recovery Startsは独立した団体で、アルコホーリクス・アノニマスとは提携していません。引用は短く、出典を示しています。ビッグブックの著作権はA.A. World Services, Inc.に、P-17の記事の著作権はAA Grapevine, Inc.にあり、AAワールドサービス社が転載しています。

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